曇りの夜、川沿いのベンチで聞く呼吸音

東京の川沿い、曇りの夜にベンチへ向かう人影と水面の光

曇りの夜の川沿い

曇った空の下、川の道へ回り込んだ。ベンチの背に手を添えると、木の表面は乾いていて、指先だけさらりとしていた。隣の金属の手すりは少しひんやりして、服の袖越しに温度差が伝わる。

水面と足音

川を見る。風は強くなく、水面の筋がゆっくりほどけていく。足元の砂利が踏まれるたび、かすかな音がして、次の人影が近づく気配だけが列になった。自販機のような機械音は遠く、代わりに吐く息の音が自分のそばで小さく続く。

帰り道、手すりをもう一度なぞった。こんな夜のほうが、どこかの部分の手触りがはっきり残るのはなぜだろう。