曇りの夜、川沿いの自転車に触れる

曇った夜の東京で、川沿いの自転車に手を伸ばす様子

川沿いの自転車

川沿いの遊歩道を歩き、欄干の少し先で自転車を見つけた。タイヤの横は砂ぼこりみたいに白く、フレームは指でなぞれるほど近い。私はハンドルのラバーをそっと握り、角度を確かめる。手のひらに残る細かなざらつきが、触った位置だけ分かる。

確かめる場所

サドルの縁に触れて、ひんやりした感触を指先で拾う。ペダルは靴底の当たる面がほんの少し擦れている。近くの街路樹の葉は、風で裏返るたびに形が変わって見えた。水面は途切れず揺れていて、反射する光が数枚の波みたいに流れる。自転車の前輪を少し押し、倒れない距離だけ動かして止めた。

この握り方、明日も同じようにできるだろうか。