身動きもどかしい通勤電車
扉が開くと同時に体がぎゅっと押し込まれ、背中が椅子の冷たさに触れるまでの僅かな隙間さえない。肩越しに聞こえる無数の吐息、揺れる吊革と重なる微かな香水。窓外の光はまだ柔らかで、車内の息苦しさとは違う世界だ。指先がカバンの角に触れ、ふいに止まる視線。向かいの若い女性の目が交差した。
朝の空気と気の緩み
ふと外を見ると、東京の空は晴れている。青が気持ちを少しだけ軽くさせて、混雑の圧迫感が薄れていく。ホームの向こうに見える緑の新芽たちが、こんなにも静かな朝だということを伝えてくれる気がする。でも息が苦しくて、胸の奥がざわつく。肩が一瞬落ちて、視線が床のグレーのタイルを追いかけている。
小さな覚悟を抱えて
週の始まりはいつもこうだ。慣れたはずの苦痛にまた飲み込まれそうになる。だけど、今日も頑張らなければ。誰かに話しかける気にもなれず、目を閉じて息を吐く。しばらくして、また小さく胸を張って扉が閉まる音に合わせた。その向こうにはまだ、明るい日射しと可能性が続いているはずだ。
