朝もやの中で足元に触れる草の感触

朝もやの中、湿った草むらに手を触れている様子

湿り気を感じる草むら

薄紫のもやがゆるやかに空気を包み込む朝。足元の草はまだひんやりと湿っていて、指先が触れるとざらりとした細かな葉の感触が伝わる。長い葉の先には小さな滴が光るが、風はそっと吹き、揺らすたびにその水滴はぽたりと地面へ落ちていた。空気の中に湿気がまとわりつき、胸のあたりまで湿っぽく重たく感じる。

ともすれば聞こえる草のささやき

風のざわめきに混じって、わずかな雑音が耳の奥に忍び込む。草が隣り合う葉とこすれる音。小さな虫の羽ばたきが朝の静寂をかすかに破っている。視線は揺れる葉群に留まり、細い茎がゆらゆらと宙に浮いているように見えた。手は動かずゆっくりとゆるみ、呼吸は鼻の奥で湿った土の香りを拾いながら、ゆらりと沈むように落ち着いていく。

変わらぬ自然の一致点に寄り添う

体を沈めたまま目の前の草をすくうと、冷たさが直接肌に伝わる。夏も間近の六月、朝のしっとりした涼気に魂が溶け込みそうになる。動かないまま手のひらに乗せる緑の束は、重く、しなやかに生きている。近くにはまだ空気の冷たさを伝える小川の流れがあり、霧雨の名残が葉の上にわずかに光る。外の世界は多少騒がしくともここには静けさが居座っている。ゆっくりと、しかし確かに。