春の夜風とインクの匂い
窓を少しだけ開けると、ふわりと春の夜風が流れ込んできます。昼間のあたたかさをかすかに残しながらも、すっと肌を撫でる心地よい冷たさ。耳を澄ませば、遠くで葉が擦れ合う音が静かに響いています。
静寂を刻む小さな音
机の上には、お気に入りの万年筆と、開いたままのノート。ペン先が紙を滑るかすかな音だけが、部屋に流れる時間のリズムを刻んでいます。春の夜風に乗って運ばれてくる微かな土の匂いと、ノートから漂うインクの香りが混ざり合うと、不思議と心が凪いでいくのを感じます。
季節は少しずつ、初夏という次の扉を開けようとしているようです。今夜はもう少しだけ、この穏やかな気配を味わっていたいと思います。
