落ち葉一枚
午後の路地を歩くと、ひとひらの落ち葉一枚がコンクリートの割れ目で静かに止まっている。視覚はオレンジがかった表面を拾い、指先は乾いた葉脈のざらつきを感じる。耳には遠くの車輪音と、枝から離れるかすかな音が混ざる。風は弱く、手のひらの温度と葉の冷たさが交差する。小さな存在は、今日の道筋にやさしく居場所を与える。
葉の影と光
この葉の角度が変わると、影の縁が舗道の肌をなぞる。光は鈍く温かく、縁を薄く染め、指先にも伝わってくる。長い影が歩幅のリズムを刻み、消えかけた音を戻すように寄り添う。急ぎ足の人の靴音だけが次第に大きくなり、葉は再び風のうちへと返っていく。
地面の痕跡
地面の薄い水跡も、この日を留めている。まだ乾かない滴が影を滑り、地面の微かな冷たさが掌の感覚を呼び戻す。通り過ぎるとき、私はこの形を見失わないように、視線を落としたまま歩みを進める。次の一歩で、この葉は別の場所へ連れて行かれるのだろうか。
