歩道の端で止まる
雨の粒がアスファルトに落ちる音を聞きながら、川沿いの歩道をゆっくり進む。濡れた欄干は、金属の冷たさが手の甲に先に伝わる。視線が止まったのは、ある区間だけ残っている白い筋だ。濡れる面に、線みたいに浮いたままになっている。
触った場所だけ色が変わる
私は立ち止まって、ポケットから小さく折った布の端を出す。白い筋の上に触れると、布がすべるのに少し抵抗があって、乾いた粉っぽさが指先に移る。水分が増えると境目が滲み、逆に筋の芯だけが残る。隣の支柱はツヤが均一で、同じ濡れ方をしていない。
持ち替えた歩幅
次の一歩で、同じ高さの段差にもう一度目を戻す。歩幅を変えると、筋の太さが微妙に見え方を変える。人が触る向きが偏っているのか、それとも雨の流れが片側に落ちていくのか。私は布をたたみ直して、白い筋の終わりだけをもう一度見た。
この白は、誰かの手なのか、雨が残した道筋なのか。
