赤い鉄の箱と夏の陽

正面から見た赤い郵便受け。強い日差しを受け、影が短く、鉄の表面が光る。後ろにコンクリートの壁とアスファルトの道路。

交差点の角で、郵便受けがじっと立っている。どのくらいの年数だろう、塗装は所々色あせているが、赤はまだ強い。日差しが真上から降り注ぎ、鉄の表面が反射して目を射る。

灼ける赤

触れてみようとは思わない。熱そうだ。側面の影を見ると、太陽が真上にあるせいで、影は郵便受けの足元にしかない。まるで自分自身を踏みつけているようだ。赤い缶体の一部は、塗装の下から下地の銀色が覗いている。もしかすると、雨に打たれてはがれたのかもしれない。

投信口の闇

投信口の黒い金属の蓋は、少し開いている。中を覗き込むと、何もない。からっぽだ。郵便物が一通も入っていないのだろう。指先を差し込めそうな隙間があるが、やめておく。中は暗くて、奥まで見えない。ふと、自分の郵便を一度もここから出したことがないことに気づく。

影と地面

足元のアスファルトは熱気を帯びて、陽炎が揺れているように見える。郵便受けの影は濃く、その形は四角く歪んでいる。地面に落ちた影だけは、赤くない。真っ黒だ。コンクリートの縁石との境目に、小さな雑草が生えていて、その先端は茶色く枯れかけている。

ふたたび郵便受けを見上げる。空は青く、雲ひとつない。この鉄の箱は、今日も何も言わずに立っている。配達時間は過ぎているのだろうか。次の収集はいつだろう。だが、そんなことを確かめる気にもならない。ただ、赤い箱が灼熱の中で黙っていることだけが、確かだ。