指先に伝わる静けさ
窓の外、六月の夜は静かに湿り気を含んでいる。ふと気づけば、ソファに座ったまま、手の中でペンが転がっている。何度も落ちては拾うその動作で、指先の微かな感触が立ち止まった心を引き戻す。湿った空気の匂いは遠くて、部屋の中のわずかな持続音だけが耳を占めている。
灯りの揺らぎを見つめて
天井のライトがうっすら揺れているのは、軽く揺れるカーテンの影響だろうか。テレビも音楽も消され、かすかな蛍光灯の光が空間を満たす。壁に掛かった時計の針はいつのまにか止まったようで、かすかな振動だけが今を教える。その振動が体の一部のように感じられて、逆に動かぬ時間にぎゅっと胸が締めつけられる。
沈黙のなかの断片
テーブルの上に置かれた書類の端、パソコンのキーボードに浮かぶ指紋。一瞬触れたその質感がいくつもの断片を呼び起こすけれど、視線はすぐに他の場所を追う。足元の箱が少しずれて、暗闇で影が伸びる。部屋の隅で小さく震える時計の針に向けて、自分の呼吸が無意識に合わさっていることに気づく。
