薄暗くなった時間、梅雨の水辺に立っている。湿気を含んだ空気が鼻先をかすめ、柔らかい土の香りがまるでじわじわと心に染み入るようだ。草の隙間から見える苔むした石は、雨に濡れた黒みがかった緑色をしており、触れると冷たさが指先にひんやりと伝わる。静かな水面には、少しばかり動揺があり、小さな波紋がゆっくりと広がっている。その波紋が消える瞬間、周囲の静けさを感じることができる。寄せる小さな水音は、まるで反響するように耳に優しく響く。ふと、視線を水辺に移すと、微かな寄せ潮が寄り添うカラス貝や小さな水草が目に入り、そっとつま先で触れてみる。水草には細かい水滴がこびりついていて、その冷たさが心地よい。周囲の木々は、葉をひっつけたまま静かに立ち、そのすぐそばに小さな虫が忙しく動き回る様子が目に入る。小さな振動を感じると、自然の中に漂う生命の息吹が自分の中にも流れ込んでくるようだ。暗くなる空には、雲が低く立ち込め、雨の余韻が残る。肘を少し曲げて、目を閉じると、しっとりとした風が頬を撫で、自然の一部となる感覚が心に満ちていく。生きる力を感じ、ただその場にいるだけで豊かさが広がる。時間が止まっているかのような錯覚を楽しみながら、すべてが一つに溶け合う瞬間を大切にしたい。
梅雨の水辺に漂うひととき
