夜の台所で冷蔵庫の扉を開けて

夜の台所で開いた冷蔵庫から漏れる光

台所の床が素足に冷たい。冷蔵庫の前に立つと、取っ手のひんやりした感触が指先に伝わってきた。扉を引くと、青白い光がこぼれ出して、足元に四角い影を作る。

缶の手触り

野菜室の上の段に、缶ビールが横に並んでいた。手を伸ばすと、アルミの表面に水滴がついていて、指がすべる。缶を取り出すとき、隣の缶がカチンと小さく音を立てた。その音が、静かな夜の空気に吸い込まれていく。

缶の重さを手のひらに感じながら、冷蔵庫の扉を閉める。磁石がぴたりと吸い付く感触。台所が再び薄暗くなって、窓の外から街灯の光がかすかに差し込んでいるのに気づく。

プルタブを起こす

缶の上部を親指でなぞると、プルタブの輪郭が指に触れる。爪を引っかけて、ゆっくりと起こす。金属のこすれる音がして、それから小さくプシュッという音。泡が立ち上る気配がする。

最初の一口を飲む前に、缶を持ったまま少しだけ立ち止まる。炭酸の細かい泡が、缶の口のところで静かに弾けている。あなたも、こんな夜があるだろうか。何かを終えて、何かを始める前の、宙ぶらりんな時間。

缶を傾けると、冷たい液体が喉を通っていく。炭酸が舌をちくちくと刺激して、鼻の奥にツンとした感覚が抜ける。飲み込んだあと、小さく息を吐く。その息が、夜の静けさに溶けていった。