静かに灯る室内の光
夜の帳が降りた家の中で、明かりがひとつ、ふたつと灯っている。蛍光灯の冷たさに飽きた目を、ほのかにゆらめく小さなランプの光がなぞる。壁に映る影は揺れても、それは物音のしない空間を見つけるようにじっとしているだけだ。ソファに座ったまま、手のひらを膝に置き、そっと指の動きを確かめる。腕時計の針の音は聞こえず、外の風の音も微かにしか届かない。
夜の家の隅にある時間
戸棚の上に置かれた古い写真立ての中に映る過ぎ去った季節。埃の中で眠る紙片の感触が想像のなかで指の間に触れる。カーテンの隙間から漏れた月明かりが床に細長い影を落とし、そっと流れを変える。時間がまるで鏡のようにこぼれて、過去も未来も混ざり合う。冷たい空気の中で薄く揺れる空気の震えまで感じながら、立ち上がらずに体を沈めている。
ふと気づく食卓の跡
食卓の上には、よく使い込まれた湯呑みがひとつ、置きっぱなしになっている。ほんの少し残ったお茶が揺れるたびに小さな音が響いたが、やがて沈黙に戻った。椅子の背もたれに掛けられた薄手の上着は、無言の存在感を持つ。息を吐くように、部屋の向こうからかすかな生活の気配が滲んでくる中、瞳はじっと細部を追うだけで動かない。
