窓を少し開けると、ひんやりとした夜風が部屋に流れ込んできた。日中の暖かさとは違う、湿り気を含んだ空気が頬を撫でていく。外の暗闷から、かすかに新緑の香りが漂ってくる。
闇に浮かぶ若葉の輪郭
街灯の明かりに照らされて、窓の外の木々がぼんやりと浮かび上がっている。昼間は鮮やかな緑色をしていた若葉も、今は黒いシルエットとなって風に揺れている。葉擦れの音が、静かな夜の空気を震わせる。
あなたも、夜の散歩で立ち止まって耳を澄ませたことがあるだろうか。昼間は聞こえない小さな音が、夜になると不思議なほどはっきりと聞こえてくる。
手元のノートと万年筆
机の上に広げたノートに、今日あった出来事を書き留めていく。万年筆のインクが紙に染み込む感触が心地よい。窓から入る風がページをめくろうとするのを、そっと手で押さえる。
五月の夜は、まだ肌寒さを感じることもあるけれど、この季節特有の生命力に満ちた空気が部屋を満たしていく。明日もまた、新しい緑が芽吹いているのだろう。そんなことを思いながら、ゆっくりとペンを置いた。
