五月の霧雨に濡れる舗道

霧雨に濡れる舗道とツツジの葉、ぼんやりと曇ったお昼の街の風景

お昼過ぎの街は、細かな霧雨に包まれている。傘を広げるべきか、そのまま歩くべきか迷うほどの、ごく微細な水滴が空気中を漂っている。肌に触れる空気は、湿気を含んで少しひんやりとしており、肌寒さと生ぬるさの中間を行き来しているようだ。

濡れたタイルの色

足元に目を落とすと、歩道のインターロッキングブロックが、水を含んで濃い灰色に変色している。乾いている部分と濡れている部分の境界線が、にじむようにして曖昧に広がっていく様子が見える。少し先にあるマンションの植え込みでは、ツツジの葉の表面に、目に見えないほど細かな水滴が無数に付着し、白っぽく光っている。葉の先からは、時折耐えきれなくなった水滴が丸い粒となって、下の土へと音もなく滑り落ちていく。

ふと見上げると、コンクリートの電柱の表面も、雨を受けてしっとりと黒ずみ、普段は気づかない細かな凹凸の陰影が際立っている。通り過ぎる自転車のタイヤが、濡れたアスファルトを「シャー」と静かに鳴らしながら通り過ぎていく。跳ね上げられた水しぶきが、お昼の淡い光の中に一瞬だけ白い線を描いて消えた。

傘を開くか迷う昼下がり

手元にある折りたたみ傘の、ザラザラとしたナイロンの質感を指先で確かめる。皆さんも、このような微細な雨の日に、傘を差すタイミングを見失った経験があるのではないだろうか。私は傘の柄を握ったまま、結局は差さずに、頭上に広がる平坦な灰色の空を仰ぎ見た。太陽の位置はまったく分からないが、空全体がぼんやりとした乳白色の巨大な光源のようになって、街を等しく照らしている。影が地面に落ちないため、立ち並ぶビルも、歩く人々も、どこか現実味を欠いた輪郭で浮かび上がって見える。

近くのカフェの軒先からは、コーヒーの香ばしい匂いが漂ってきて、湿った空気と混ざり合いながら鼻腔をくすぐる。店のガラス窓は内側の熱気と外の涼しさの温度差で、下半分が薄く曇り始めている。指先でなぞればすっと消えてしまいそうなその曇り越しに、店内の温かそうなオレンジ色の照明が丸くにじんで見えた。

私は再び歩き出し、靴底が濡れた地面を捉える感触を確かめる。薄い革靴の底を通して、コンクリートの冷たさがじわじわと足の裏に伝わってくる。ほんの少し濡れただけの前髪を指先で払いながら、私は霧雨が織りなす静かな昼の街を、急ぐことなく一歩ずつ進んでいった。