濡れた葉の重なり

雨に濡れた庭の植物の葉

雨滴を受け止める輪郭

午前十時を回り、庭先の緑は鈍い光を溜め込んでいる。空からはごく微かな粒が降り注ぎ、空気には密度がある。目の前にある低木は、一枚一枚の葉が限界まで水を含んでいた。葉の縁から滴が落ちようとする寸前、その重みで葉柄がわずかにたわむ。透明な球体は、隣り合う葉の背を滑り落ち、また別の小さな窪みへと吸い込まれていく。

葉脈に走る光の道筋

湿った茎は周囲の空気に溶け込みそうなほど深い色を帯びている。上段の大きな葉が作り出した影は、下段の葉の脈に沿って歪な形に伸びていた。霧雨の合間、雲の隙間から届く淡い光が、表面に張り付いた水分を反射させ、一枚の板のように硬質に見せる。時折、風ではない何かの力に押されるように、葉全体が小さく震える。それは呼吸のように規則的で、周囲の静けさをより際立たせていた。重心を少し低くして覗き込むと、地面から立ち上る湿気と、泥混じりの独特な香りが鼻腔を通り抜ける。靴の先が土の跳ね返りでわずかに色を変えたが、それを払おうという気力は湧かない。このまま動かずにいれば、自分の輪郭も周囲の緑に少しずつ混ざり合っていくのではないかという錯覚だけが、淡々と胸の奥に澱んでいる。引き返すべき道順を思い出すこともなく、ただ一点の湿った緑を見つめ続けている。