曇り空に咲く半夏生の白

朝の光の中に佇む半夏生の白い葉

葉の端から広がる白い気配

どんよりとした雲が低く垂れ込め、湿った空気が肌に張り付く朝である。窓の外、庭の隅に植えられた半夏生が、今年もその一部を白く染め始めている。花と呼ぶには控えめすぎる小さな穂を囲むように、葉の半分だけがまるで白化粧をしたかのように色を抜いている。この白さは花びらではなく、虫を誘うための変形した葉だという。根元から幾重にも重なる茎を辿れば、重たげな空の色を吸い込み、冷ややかな透明感を漂わせている。

静寂の中で深まる色

指先でその縁をそっと撫でると、少しだけざらりとした感触が残る。雨上がりの名残か、あるいは湿り気を帯びた空気のせいか、白と緑の境界線は、日が昇るにつれて少しずつ曖昧な影を落としていく。茎はしなやかで、わずかな風にも身を任せるように細かく揺れる。根元に積もった古い土の匂いが、呼吸を整えるたびに鼻腔をかすめていく。他の草花のように鮮やかな主張はせず、ただひたすらに、静かにその時を待っているようだ。誰に見られることもなく、ただそこに在るという事実が、視界の隅で微かな規律を作り出している。朝の光が雲の隙間から届くことはないが、葉の白さはむしろ曇天の下でこそ、その輪郭を鮮明に浮き彫りにする。何も言わずにただ佇む姿が、朝の静けさをより深くしている。