夕暮れの銀杏の木

夕暮れの銀杏の木の幹と葉

幹の肌触りを透かす光

空はまだ明るさを保っているが、陽はすでに傾き、建物の影が道路を斜めに横切っている。その影の縁に立つ銀杏の木は、幹の一面だけを橙色に染められていた。表皮は縦に裂け、ところどころ苔が生えている。光が低い角度で当たると、その凹凸がくっきりと浮かび上がる。指でなぞりたくなるようなざらつきがあるが、その衝動を押しとどめて、ただ視覚で追う。

葉裏の淡い色

枝先の扇形の葉は、表よりも裏のほうが光を受けて柔らかく輝く。風が吹くたびに、葉群全体がひらりと裏返り、銀灰色の閃光が走る。その一瞬の明るさは、蝉時雨の音と重なって、耳にも目にも届く。幹の根元には落ちた実が数個、まだ青いまま転がっている。誰かが踏んだのか、一つは割れて中から薄い核が見えた。

空と木立の境界

肉眼で見る空は、まだ群青の手前の薄い藍色だが、樹冠の隙間をすり抜けた光が枝の輪郭を金色に縁取っている。視線を下ろすと、アスファルトに落ちた葉の影が、風に揺れて形を変えている。影は濃く、はっきりとしているが、端はぼやけて溶けるように地面に吸い込まれていく。