路地裏の雲一片
昼の薄曇り
路地裏で薄曇りの空を横切る雲一片を、手すりの陰からじっと眺める。風は弱く、新緑の香りが混じる朝の匂いが薄く立つ。雲は動くたびに色を変え、白から灰へ、時に金色の縁を見せる。路面の濡れた跡に影が揺れ、木目のベンチにも淡い影が走る。自販機の白いランプだけが、静かな店じまいの合図のようだ。
この雲を中心に、視線と時間がゆっくり滑る。色の変化に気づくたび、始まりかけの一日がこっそり指先をすべらせる感触を思い出す。日々の小さな変化を拾い上げると、記憶の薄い紙が風にめくれるように動く。さて、同じ景色の中で、あなたは何を見つけるだろうか?
