細く落ちる影のかたち
建物の影が壁の角を細く縁取っている。お昼を過ぎて陽の光が傾き、いつもとは少し違う角度で伸びている細い線は、どこか頼りなげに揺れている。足元に注意を向けると、舗道のひび割れから小さな草が顔を出していて、風に吹かれてふわりと揺れた。無造作に置かれた小さな看板は、ゆっくりと前後にうなるように揺れていた。
揺れる葉と見え隠れする光
植え込みの葉がさわさわと動く。湿った空気に包まれた午後の空気が、かすかに葉を撫でている。葉の間に覗く木漏れ日は、うつろいながらもことさら濃密に感じられる。通りのざわめきから切り離されたこの場所に立つと、どこか身体の細胞がじんわり反応するようで、視線は揺れ動く緑に寄せられる。
時折訪れる静かな気配
遠くで車の音がひとつ聞こえたけれど、それ以外は静かだった。ビルの腕木看板の揺れをぼんやりと見つめていると、知らず足を組み替えていて、身体が少しだけ前かがみになるのを感じる。小さなことで理由なく呼吸が浅くなっているのだと、妙に自分が繊細になっているのを察した。街は動いていて、けれどもここにはほとんど動かない何かがじわじわと染み込んでいた。
