郵便ポストの赤

赤い郵便ポストのアップ写真、夏の昼前の陽射し

七月も半ば、十時を過ぎた街角は陽射しが容赦ない。アスファルトから立ち上る陽炎の先に、一基の赤いポストが立っている。背後にはシャッターの下りた商店が並び、人の気配はない。靴底から伝わる熱は既にじりじりとしている。まぶしさに目を細めながら、足を止めた。

直射日光の下で

塗装はところどころ剥げ、下地の灰色が覗く。剥げた部分の縁は黒ずみ、長年の風雨を思わせる。金属の表面は触れれば火傷しそうな熱を帯びている。上部の丸みを帯びた陰影は、昼前の低い太陽が作り出したものだ。光を受けた側は鮮やかな赤だが、影の側は暗く沈み、色が半分になる。足元の影は黒く濃く、短く縮んで電柱の根元に達している。風はなく、葉一枚動かない。汗が首筋を伝う。

投函口の縁は摩耗し、金属の鈍い光沢を放っている。指の腹でなぞると、ざらりとした感触が残る。ほこりが指先に薄く付いた。

投函口の奥

口を覗き込むと、内部は暗く、底に数通の封筒の白い端がかすかに見える。封筒は斜めに重なり、一番上のものには切手の一部が覗いている。奥から冷えた空気がほのかに漏れてきて、紙と金属の混ざった匂いが鼻をかすめる。耳を澄ませば、遠くで車のエンジン音がかすかに聞こえるだけだ。その音が過ぎ去ると、再び静寂が戻る。自分が立てる息遣いだけが、かすかに投函口に吸い込まれる。

ふと、数日前にここに投函した葉書を思い出す。届いただろうか。そのまま背を向け、歩き出す。陽射しが後ろから肩に当たる。ポストの赤は、振り返らずとも、目の裏に焼き付いている。消えそうで消えない、あの色が、まだ視野の隅に残っている。歩を進めるにつれ、赤はだんだんと小さくなり、やがて陽炎の中に溶けていった。