街を歩いていて、ふと足元の違和感に視線が落ちる。アスファルトとコンクリートの隙間、排水溝の金属格子がはまる枠。普段なら素通りする場所だが、今日はなぜかその隅に目が留まる。
乾いた溝の表面
格子を外したままの場所がある。おそらく清掃の後だろう。露出した溝の底は、乾いて白っぽくなったコンクリート。表面には無数の細かなひび割れが蜘蛛の巣のように広がり、その一つ一つに埃が詰まっている。湿度の高い午後だが、ここだけはからからに乾いて、指で触れればざらりとした感触が伝わってきそうだ。
溜まった砂
溝の隅には、風で運ばれた細かい砂が三角に盛られている。周囲の固いコンクリートとは質感が異なり、柔らかく、崩れやすい。指で押せば跡がつくだろうが、わざわざ触る気にはならない。そのまま、形を保っている様子を見つめる。
水の痕跡
溝の壁面には、水位の跡がうっすらと線を描いている。前回の雨から時間が経ち、その線も薄れかけている。今にも降り出しそうな空の下、ここにはもう水はない。ただ、次の雨が来るのを待っているような静けさがある。
立ち上がり、再び歩き出す。背後で、乾いた溝が音もなく続いている。
