湿り気を帯びた緑の厚み
日が沈みかけ、周囲の輪郭が曖昧になる頃、庭の端にある一枚の大きな葉に目を向ける。雨粒は葉の表面で弾かれることなく、重なり合う脈の凹凸に従ってゆっくりと滑り落ちていく。指先をそっと添えると、湿り気を多分に含んだ繊維が、僅かに冷たさを伝えてくる。表面を走る細かな筋は、まるで地図のように網目状に広がり、その間を透明な雫が幾筋もなぞっている。
指先に残る感触
爪先で軽く葉の縁をなぞれば、濡れた繊維が指の腹に吸い付くような感触がある。雨は止む気配を見せず、絶えず周囲の緑に新たな滴を加え続けている。根元の方に目を落とすと、集まった水が葉を重みで撓ませ、限界まで膨らんでから地面へと弾け飛ぶ。そのたびに葉が小さく震え、隣り合う別の葉と重なり合って音を立てる。肌に触れる空気は重く、衣服の袖口からも湿気が入り込んでくる。
繋ぎ留められた雫
葉の付け根付近で、一つの大きな滴が脈に捕まり、動かずに留まっている。その中には周囲の薄暗い景色が歪んで閉じ込められており、揺れるたびに光を散らしている。重力に抗うようにして留まるその雫を見つめていると、指先を伝う冷たさが次第に手のひらから腕の方へと広がっていく。他のどこでもない、この狭い範囲の湿度だけが、今の身体の状態を静かに物語っている。
