重なる白い花房の重み
窓を開けると、しっとりとした空気が部屋に流れ込む。庭の隅で、柏葉紫陽花が昨日までの雨をたっぷり吸い込み、うなだれるようにして咲いている。大きな掌のような葉は、光を吸い込み鈍い緑色に沈み、その中央に円錐状の花房がずっしりと鎮座している。一つ一つの小さな白い花弁には、雨の雫が残り、わずかな揺れとともに光を散らしている。指先で触れると、ざらりとした葉の裏側の感触が伝わってくる。毛羽立った細かな毛が、湿気を抱え込み、確かな重さとなって枝を撓ませている。
指先が辿る葉の質感
雨の雫が滑り落ちる軌跡を追う。花弁は厚みを増し、触れると少しひんやりとした冷たさが指に転写される。根元から先端へ向かって密に並ぶ小さな花の重なりは、どこか整然としながらも、自然の強かな息遣いを感じさせる。昨晩の豪雨が嘘のような、静かな朝の時間。この植物が抱える水の冷たさと、葉の硬質な感触だけが、そこにある。窓枠に手をかけ、ただその連なりを見つめているだけで、指先から温度が奪われていく。何かに追われるような焦燥が、少しずつ、この静寂に溶けていく。ただ、そこにあり続けるという力強さ。雫が一粒、葉の端から地面へと落ち、波紋を広げる。湿った土の香りが立ち上り、朝の輪郭を少しだけ曖昧に書き換えていく。
雨上がりの庭に佇む柏葉紫陽花
