軒下の湿り気と小さな緑
どんよりとした灰色の雲が空を覆う昼下がり、私は軒下にしゃがみ込んでいる。
雨が降り出しそうな湿った風が、首筋をなでて通り抜けていく。
長い間、庭の隅に置き去りにされていた素焼きの鉢を両手で持ち上げると、ずしりとした重みが手のひらに伝わってきた。
鉢の底が地面と接していた場所には、光を遮られた湿った土が黒々と露わになり、その縁を細かな緑色の苔が縁取っている。
指先でその苔に触れてみると、ひんやりとした湿り気が皮膚に吸い付くように馴染んだ。
この生温かい季節の空気の中で、そこだけが取り残されたように冷たい。
しばらく動かさなかったものを動かすとき、少しの抵抗とともに剥がれる音が、耳の奥に小さく残る。
進む虫と止まった指先
湿った土の塊から、驚いたように小さな灰色の虫が這い出してきた。
せわしなく触角を動かしながら、光を避けるようにして植木鉢の影へと逃げていく。
私は指先を泥で汚したまま、その小さな動きをただ目で追い続けている。
先ほどまで頭の中で繰り返されていた、返事を保留にしたままの古い約束や、誰かの静かな声が、虫の傷を這う速さに合わせて少しずつ遠のいていく。
爪の隙間に入り込んだ黒い土は簡単には落ちそうにないが、それを今すぐ洗い流そうとはせず、ただ汚れた指先をじっと見つめている。
土の中に指を差し入れたときの、じわじわと熱が奪われていくような感覚が心地よく、私はそのままの姿勢で、もう一度鉢を地面に戻した。
乾かない空気の中で
梅雨の湿気を含んだ風が、庭の雑草の葉をわずかに揺らす。
息を吸い込むと、濡れた草と土が混ざり合った、この季節特有の濃い匂いが胸に満ちた。
あなたがもし、何かに立ち止まり、手元の小さな世界に視線を落すとき、そこにはどのような静けさがあるだろうか。
私は立ち上がることもせず、ただ膝を抱え、冷えかけたコンクリートの感触をズボン越しに確かめている。
遠くで微かに聞こえる街の気配が、湿った空気に遮られて、いつもより低く、重く響いていた。
