信号待ちで見つめる足元の記憶

雨に濡れた街角のタイルと信号待ちの足元

雨にぬれたタイルの断片

信号の赤に足を止めた。歩道のタイルはまだ湿り、薄く光っている。人混みは遠ざかり、視線は自然と地面に落ちた。濡れた表面に映る淡い街灯の光が、散りばめられた水滴を揺らしている。ひと粒の雨がポツリと足元に落ち、それが小さな波紋となって広がる。

靴のかかととその間の距離

目の前の靴はすでに濡れているようで、つま先が少し反っているのが見てとれる。隣の靴とはわずかな隙間があるだけなのに、その距離感に不意に意識が向く。どういう間合いが心地よいのか、なんとなく考えながら、体の重心を片方に預け直した。

聞こえてくる雨音の余韻とともに

雨はたまにひと呼吸おいてから、そっとまた降り始める気配だ。足元の水たまりに映った街灯がゆらぎ、同じ場所にいながら景色は少しずつ変わっていく。拾い上げた何気ない光景のなかで、手持ち無沙汰に動かした指の感触がわずかに心地よい。じっと立ち止まっている時間の中で、小さな世界が広がっている。