机の隅の小さな世界
曇りがちの空からやわらかな昼下がりの光が差し込んでいる。机の隅に置かれた紙の束やペン立ての影がひそひそと伸びているのを、目の端だけで追いながら手が勝手に引き寄せるのは、少し曲がったクリップだった。風の音もない部屋の中で、静かな時間がひっそりと動いている。
外と内の境界線を渡るひととき
窓の外では、昨日とは違って雨の匂いも消え、むしろ湿り気を帯びた空気が漂い、近くの植込みの葉っぱがほんのり色濃く見える。吹き込む風がときおり紙を揺らし、手持ち無沙汰な指先がそのたびに反応する。ニュースでロンドンの街の話題をぼんやり思い出し、遠くの土地の雑踏とここにある散乱した小物の対比が、妙に胸中に渦巻くのだった。
手の届く範囲で起こる風景の変化を見つめる
そしてまた視線を落とし、小さな陶器のカップの縁に沿う指先に注意を戻す。いつもは流し見するだけのものが、なぜか今日に限ってその輪郭や傷み具合を刻み込みたくなる。ニュースの話に重なるように、日々の些細なことが、微妙に色づいてゆく。そうした瞬間の積み重ねが、目の前の世界の形をまた少し変えていくのだろう。
