濡れた路面に映る光
雨は夜の始まりに上がり、宵の空気をしっとりと抱え込んでいた。街角の看板の光が、濡れたアスファルトに触れては揺れ動いている。無数の滴が小さな水玉となり路面に点在し、灯りはその輪郭をそっと揺らした。見上げると、風に揺れる布製の看板が時折、静かにざわめく。
看板の揺らぎに漂う時間
小雨はもうないが、湿度の高い空気が身体にまとわりつく。歩く人はもう少なく、耳に映るのは遠くの車の往来音と、軒先にぶら下がる看板の金属がかすかに触れ合う音だけだ。街灯の黄色い光が薄く延び、舗道のひび割れをそっと浮かび上がらせていた。看板の揺れに合わせて視線の焦点も揺れる。
佇むひと時と目の前の景色
その場所に立ち止まると、時間の流れがふわりとゆるんでいく。こぼれそうな空気の中で濡れた石畳がしっとりひんやりとすべり、足元から滲む冷たさを意識する。傘を閉じて、肩にかけた小さなバッグが揺れる。ひっそりと灯る看板と濡れた街は、今この瞬間だけの声を潜ませていた。
