揺れるカーテンに映る微かな光
夜の静寂が広がる室内。薄いカーテンは時折、わずかな風にも似た気配で揺れている。外は曇っているはずなのに、都会のあかりが闇の向こうでぼんやりとした輪郭をつくっている。光の強さも色もなく、ただ淡い灰色のグラデーションに溶けていく。
窓枠に触れた指先の冷たさ
立ち上がって手を伸ばす。ひんやりとしたアルミの窓枠が伝える感触に、何か掴みどころのない時間の流れがこぼれた。指先の冷たい感覚だけが、いまここにいる身体の輪郭を確認させる。肩越しに、すぐそばのテーブルの上に置かれた書類の端が揺れていることに気づくが、目を戻すとカーテンはもう少し動いていた。
静かな部屋で立ち止まる時間
後ろの本棚からかすかな紙の匂いが漂い、窓の外の風の音が遠ざかったように感じる。ソファのざらついた生地に触れたくなって足を運ぶが、そこにはまだ誰もいない。隅に積まれた新聞紙もまた、いつか開きかけたままの息遣いを想像させていた。椅子に腰掛けながら外を見つめる仕草が、まるで動きを止めてしまった時のための呼吸のように映る。
