灯りの輪郭と闇の間
リビングの灯りをおさめると、部屋は沈黙に包まれた。机の上に置きっぱなしの本のページが、わずかな明かりにかすかに反射している。手が本の表紙に触れた瞬間、紙のざらりとした質感がひんやりと伝わる。窓の外は濃い闇に覆われていて、曇り空のせいか、少し重たい空気が窓ガラスの向こうでひそんでいる。
体温と布団の距離
床に敷いた布団の縁を指の腹で撫でる。繊維が小さく反応して微かなざわめきを起こすさまは、部屋の静けさをさらに引き立てる。掛け布団の冷たさに手先がじわりと触れ、思わず腕を引っ込めた。体の芯が、眠気ともまだ離れている何かに触れ、ページを閉じた本の上でかすかな音が鳴る。
夜の呼吸と微かな動き
ゆるやかに流れる空気に、部屋の隅で小さな時計の針が音もなく動いている。湿り気のある空気がゆっくり胸に入り、間断なく吐き出される。耳を澄ますと、遠くのエアコンのファンのわずかな回転音が響き、ふとんの下から体温がじんわりと伝わる。ひと呼吸おいて、ぼんやりとした視線が壁の陰に溶けていった。
