足元の草とひそやかな存在
曇り空が広がる初夏の庭先に立つ。靴先のすぐ横に生える細い草はまだ若く、柔らかな緑色が目を引く。よく見ると陰のなかに小さな虫が移動している。風は弱くて、葉が揺れる音もほんのわずか。しばらくじっとしていると、湿った土の匂いが鼻の奥にすっと届いた。
肌をかすめる空気と音
湿度は高めでも肌触りはさらりとして、少し冷たさが残る空気を感じる。耳元にはどこからか小鳥の鳴き声、しかしそれも薄く遠い。時折、庭の石に小さな滴が落ちる音が響き、ここにいる時間を静かに刻んでいるようだ。体がすこしだけ傾いて、それにつれて視線もわずかに動く。
細部に映る季節の気配
葉の端の薄い縁取りや、乾いた小枝の色合い、点々と残る土の表面模様。手を伸ばすと、落ちた葉の一部がひんやりして、指先に冷たさが伝わった。曇りのなかでも季節は確実に動いているのだと、湿り気を含んだ風と足元の草が教えてくれる。見上げれば灰色の空が広がり、光は柔らかい。
