湖畔の静かな水面を見つめて

初夏の湖畔で静かな水面が揺れている様子

湖畔の水面に映る揺らぎ

湿気の重く届く空気のなか、湖の水面が静かに揺れている。指先が触れた岸辺の石はひんやりと冷たく、ゴツゴツした手触り。瞳は波紋のひとつひとつを追い、細かな模様がゆらゆらと形を変えていく。水に浸かる小さな草の葉が揺らぎに応じてささやくように揺れ、そんな音が遠い記憶のように胸の奥へ押し込まれていった。

風が掠める草の香り

周囲の緑は瑞々しく、そのひとつひとつの葉の上に落ちた水滴が光を弾く。風はときおり肌の露出した部分をくすぐり、蒸した匂いを運ぶ。揺れる草の波間にわずかな涼しさを見つけようとして、身体はつい薄く息を止めるように小刻みに動く。耳元を通過する葉擦れの音は時折、誰かがすぐ近くにいるかのような錯覚を生むが、視線を上下に揺らせば静かな水景がひろがるだけ。

水辺に染みこむ時間の粒

足元には複雑な色の塊が濡れた土と混ざり合って広がり、そこに小さな虫の羽音が点滅する。空気の密度をかき分けるように呼吸が規則的に続き、意識は水面の揺れにすり抜けるように流れ込んでいく。何度も水音と葉擦れを繰り返しながら、間の時間が細かく隔てられて漂っている。連続しない体感の隙間で、目線だけが湖面の揺らぎについていく。