曇り空に揺れる店先の細部
夕暮れの色はまだ空の奥にたたずみ、街の歩道脇で小さな店の軒先がひと息ついている。強く降った昨日の雨は去り、地面の湿りはほのかな光の中で囁くように伝わってくる。店先のプランターの葉が、そよ風にわずかに揺れているのを見つめる。濃い緑とその先に見える黒ずんだアスファルトのコントラストが、時折目の端を刺激し、思考が散らばってしまう。
細く伸びたポスターの端
壁に貼られた古びたポスターの端が、軽い風に吹かれてちらついている。くしゃっと折れた紙の質感が、暗くなっていく空の色と混じり合いながら、なんとなく懐かしさを呼び込む。ふと指先の揺れに気づき、ポケットの中で無造作に握った紙切れを見つめ直すが、すぐにまた視線はポスターへ戻る。タイミングを逃したような間の取り方が、身体の芯にかすかな余裕を残す。
通りのざわめきと時間の流れ
通りの車の音が遠く、どこかぼやけている。歩道の向こう側で紙袋を持つ人の影が揺れ、歩調を乱すことなく過ぎていく。たった今立ち止まったこの場所で、風の感触、紙のひらめき、濡れた路面の冷たさの断片は、それぞれのタイミングで重なり合いながらも、はかなく交差していく。その全てが積み重なってどこかに堆積していくのだろうか。そんなことを考えながら、つい目の前の何気ない景色に深く向き合ってしまう。
