草原の風に肩を預けて

初夏の午後の草原、風に揺れる草と遠くの丘陵

風が草を撫でていく音

草原の真ん中に腰を下ろすと、すぐに風が背中を押してきた。昼下がりの日差しが頬に当たる。目を細めて遠くを見る。丘の稜線がゆるやかに続いている。

膝のあたりまで伸びた草が、風が通るたびにざわざわと音を立てる。手のひらを草の上に置くと、葉先がちくちくと肌を刺す。少し湿った土の匂いが鼻をかすめた。

立ち上がろうとして、また座り直す。まだここにいてもいい気がした。靴の先を草の中に埋めて、つま先を動かしてみる。草がさらさらと音を立てて揺れる。

肩に当たる風の重さ

風が強くなってきた。シャツが体に張り付いたり、離れたりを繰り返す。髪が顔にかかって、手で押さえる。でも、すぐにまた乱れる。

遠くで鳥が鳴いている。姿は見えない。空を見上げても、雲が流れているだけだ。首筋に汗が伝う感じがして、手の甲でぬぐった。

草原の向こうに、ぽつんと一本の木が立っている。枝が風に揺れているのが、ここからでもわかる。あそこまで歩いていこうか。でも腰が重い。

草の匂いと体の重さ

膝を抱えて座り直した。草の匂いが濃くなったような気がする。青臭いような、少し甘いような。深く息を吸い込んでみる。

肩の力を抜くと、体が少し前に傾いた。このまま草の上に横になってしまいたい。でも、虫がいるかもしれない。手のひらで地面を探ってみる。思ったより固い。

風がまた強く吹いた。目を閉じて、音だけを聞く。草がこすれ合う音、遠くの鳥の声、自分の呼吸。体の中の何かが、少しずつほどけていくような気がした。