カウンター席に腰を下ろすと、ちょうど目の高さにコーヒー豆の入った瓶が並んでいる。褐色の豆がガラス越しに見えて、ラベルの文字が逆さまに読める。肘をつくと、木のカウンターがひんやりと腕に触れた。
向こう側でエスプレッソマシンが低く唸り始める。金属のポルタフィルターを叩く音が二回、三回と響いて、それから静かになった。手元のカップはまだ空で、白い陶器の内側に小さな影が落ちている。
## 豆を挽く音が始まる
挽きたての粉が落ちていく音が聞こえてきた。機械の振動が、カウンターを伝って指先にかすかに届く。あなたも似たような音を、どこかで聞いたことがあるかもしれない。朝の台所で、あるいは別の店で。
カップの取っ手に指をかけたまま、しばらくじっとしていた。窓からの光が斜めに差し込んで、カウンターの上に細長い四角を作っている。その明るさの中で、ほこりがゆっくりと舞い上がっては消えていく。
## 注がれる瞬間を待つ
スチームの音が始まると、白い蒸気が一瞬だけ見えた。ミルクピッチャーを持つ手が、小さく円を描いている。金属と金属がぶつかる音。それから、注ぐ動作がゆっくりと始まった。
褐色の液体が、カップの底に最初の一滴を落とす。そのとき、鼻の奥にかすかな苦みが届いた。カップを両手で包むと、まだ熱が伝わってこない。でも、もうすぐ温かくなることは分かっている。
受け皿の端を親指でなぞると、つるりとした感触がした。カウンターの向こうでは、もう次の準備が始まっている。豆の瓶が一つ、棚から下ろされて、蓋を開ける音がした。
