水際の石たち
川原に降りて、しゃがみこむ。足元には大小さまざまな石が転がっている。水の流れる音が耳の奥で響いている。手を伸ばして、ひとつ拾い上げる。
掌に収まる石は、思ったより重い。表面は滑らかで、指の腹がすべる。灰色に、うっすらと白い筋が走っている。親指でなぞると、わずかなくぼみに爪が引っかかる。
立ち上がろうとして、また別の石に目が止まる。今度は平たい。厚みは小指の幅ほど。拾い上げて、さっきの石と並べて持つ。重さが違う。形も違う。でも、どちらも川の水に洗われて、角が取れている。
積み重ねては崩れる
石を三つ、四つと拾い集めていく。膝の横に並べる。大きいものから順に重ねようとして、すぐに崩れる。平たいものを下に置き直す。今度は二段目まで積めた。三段目を載せようとして、指先が震える。
また崩れた。石が転がって、ひとつは水際まで行ってしまう。追いかけようとして、やめる。代わりに、手元に残った石を見つめる。
川の流れは変わらない。対岸の緑が水面に映り込んでいる。風が吹くと、その影がゆらゆらと動く。石を握りしめる。掌に石の形が食い込む。
帰り道を忘れて
いつの間にか、集めた石が小さな山になっている。数えてみる。十三個。いや、十四個か。また数え直す。
ひとつずつ、川に投げ返そうとする。最初の一個を手に取って、構える。でも、投げられない。また膝元に戻す。
陽が少し傾いてきた。そろそろ帰らなければ。でも、まだ石を握ったまま、立ち上がれずにいる。この石を持って帰るか、ここに置いていくか。答えは出ない。
水音だけが続いている。石を掌で転がす。ころころと、小さな音がする。
