廊下の灯りと静かな手の動き

夜の廊下に灯る暖かな電灯の光と、古びた木の床が見える風景

灯りのゆらぎと暗がりの合間

帰宅してすぐ、廊下のスイッチに手を伸ばす。ひと押しでぽつりと灯る電気は、空気の重さをじんわり和らげた。裸電球のような柔らかさはなく、蛍光灯の輪郭が細かく浮き上がる。壁に並ぶ小さなフックには鍵や小物がひとつずつ掛けられ、年季の入った木製の床は踏みしめると微かに軋む。

手の届く場所の静けさ

廊下の隅、自動点灯の小さなナイトライトが目に入る。指先で触れるたびに少し熱を持つその灯は、長く使われているのか微かに黄ばんでいる。隣の靴箱の上には新聞紙の束がきちんと重なり、紙の端がわずかにはみ出している。指の腹でそっと撫でるようにその存在を確かめながら、スッと引き戸の手前まで進んだ。

夜の廊下に溶ける時間の粒

灯り越しに映る廊下の壁に、かすかな影が揺れている。奥の部屋でわざとらしく音を立てるものもなく、ただ静かな気配だけが息づいている。歩幅を狭くして、少しずつその光の中を横切りながら、手の動きも鈍くなった。どうにも収まらないものを抱えたまま、この狭い空間に身体が馴染もうとしている。肌に残るわずかな冷たさは気のせいか、それとも明日への忘れ物かもしれない。