マンホールのふた音と傘の置き場

雨の気配が残る東京の路地で、マンホールのふたのそばに整えられた傘立てとアスファルトの濡れた質感

路地の終わりで聞こえる

深夜、部屋を出た廊下の先で、マンホールのふたに耳が引き寄せられた。濡れた路面がわずかに沈み、足音が吸われる。角の排水口から伝わる気配に、傘の先が思い出される。

玄関の脇を整える

傘立てに戻す前に、持ち手を軽く拭いてから置く。受け皿に落ちた水が点いて、次の雫の場所が決まるみたいだ。靴のかかとが少しだけずれたので、床に触れる位置も直した。

静かな確認

水たまりの縁を踏まないように視線だけ動かし、曲がり角までの距離を見積もる。マンホールのふたの金属が、音を短く返してくる。

いま、あなたの近くで整えられるものは何だろう。