曇り深夜の商店街
商店街のアーケードに入った瞬間、足裏が床の細かい粒感を拾った。靴底が段差に当たるたび、硬い面の反響が短く返ってくる。シャッターの下のすき間から、空気の流れがわずかに冷たく感じた。
見える縁と音
目線を少し下げると、柱の塗装が光の当たり具合でまだらに見える。看板の角を指先で触れる手前まで近づけて、触れない距離で金属の冷たさを確かめる。遠くの自動販売機が唸るように低く鳴り、次に自分の足音が割り込む。
歩幅だけを整える
人がいないので、歩幅を一定にしてみた。すると、踏む位置で音の濁りが変わる。最後に、いつも気にしない床の模様を改めて見た。今夜の足音、あなたならどの場所で聞き分けますか。
