路地裏の苔と夕暮れの風

路地裏の苔と夕暮れの風景

路地裏の苔の光

薄曇りの夕方、路地裏を歩く。壁のひびには小さな緑のかたまり、路地裏の苔が静かに生えていた。私はポケットを確認し、指先でその緑を撫でる。都会のざわめきは遠く、手の甲だけが湿り気を感じる。味わい深い静けさが、時間のすき間を作ってくれるようだ。

色の変化

薄い日差しが苔の端を染め、緑と黒の縞がゆっくり動く。昨日と違う今日の色合いを、視線は丁寧に拾い上げる。喉元にかかった風の匂いと重なるその断片は、私の記憶の窓を開く。この淡い色彩の連なりを、私はじっと見つめていた。

始まりかけのもの

路地の奥で、古いポストが少し傾く。そこに生える新芽の影が、始まりかけの季節を知らせる。私はスマホの画面を閉じ、手元の記憶だけをそっと残す。

この小さな変化は、街の時間の断片だろうか。