路地裏に揺れる若葉のささやき - besoft

路地裏に揺れる若葉のささやき

早朝の路地に差し込むやわらかな光と、塀越しに揺れる若葉

玄関先で深く息を吸うと、湿りを含んだ若葉の匂いが胸の奥まで広がった。連休が明けて、街はまだ目覚めきらないうちにある。塀の向こうから伸びた楓の枝が、薄い緑の手のひらをいくつも広げ、淡い光を受けて揺れている。

路地に残る朝の気配

足元のアスファルトには、夜のあいだに落ちた花びらが点々と散っていた。風はほとんど動かず、それでも葉の縁がかすかに震える。どこからか、雀の細い声が二つ三つ重なって聞こえてきた。あの声は、いつから始まっていたのだろう。

掌に伝わる温度

持ち出した小さなノートを開くと、紙の表面がひんやりと指に触れた。書き留めたいのは特別な出来事ではなく、塀の苔の青さや、垣根の隙間から覗く名も知らぬ白い花のことだ。鉛筆を走らせるあいだも、若葉の匂いは絶え間なくこちらへ流れてくる。

季節は、こんなふうに音を立てずに進んでいくものらしい。気づくか気づかないか、その境目を見つけられた朝は、少しだけ得をした気分になる。あなたの近所では、今、どんな葉が伸びているだろう。