空が白み始める頃
窓の外で小さな声が響いている。薄明の中、燕たちが電線に並んで何かを話し合っているようだ。街がまだ眠りから覚めきらない静寂の中で、彼らの会話だけが軽やかに空気を震わせている。
机の上に開いたままのノートに、昨夜書きかけた文字が薄ぼんやりと見える。ページの端で、インクが乾ききらないうちに眠りについてしまったのだろう。万年筆のキャップを外し、そっと線を引いてみる。滑らかな感触が指先に伝わった。
風に運ばれる新緑の香り
わずかに開けた窓から、若葉の匂いが流れ込んでくる。街路樹の枝先に芽吹いた緑が、夜明けの光にほんのりと浮かび上がっている。あなたも時々、こんな静かな時間に自然の声に耳を澄ませることがあるだろうか。
燕の声に混じって、遠くで鶯が鳴いた。まだ完璧ではない鳴き方で、何度か繰り返している。季節は確実に歩みを進めているのだと、その声が教えてくれる。空の色も少しずつ変わり始め、やわらかな光が部屋の中にも差し込んできた。新しい一日の始まりを、鳥たちが静かに告げている。
