下駄箱の前、靴紐
遅い午前の玄関は、空気が少しだけ澄んでいる。下駄箱の扉を開けると、並んだ靴の位置が目に入る。1つだけ、前日によれた靴紐が引っかかったままだ。つま先に手を寄せ、結び目をゆっくりほどく。
ほどいた紐を通す
紐が指の間を滑り、床の上で軽く鳴る。結び目の形を思い出しながら、左右の輪を揃えて通していく。金具に擦れる音が小さく響き、結びの手数が一定になる。
外の用意、指先だけ
最後に引くとき、強さを確かめる癖が出る。急ぐ日ほど雑になりがちで、直したくなる。靴紐の締め具合、どこで判断しているだろう。
