昼前の路地で湯気を拭う

路地で紙コップの縁を布で拭く手元

紙コップの縁

路地の角で、買った温かい飲み物を受け取る。紙コップの縁がふっと湿り、湯気が指先の近くでほどける。手早く布で一度拭い、飲む前に細い熱だけを落ち着かせる。

段差の足音

少し先の歩道と車道の境目で、靴底が硬く当たる。通り過ぎる車の振動が遠くで抜け、湯気を拭う動きだけが手の中で残る。ふと同じ癖を持つ人もいるのではと思う。布の角は、次に来る蒸気のために畳み直す。

もう一度、拭く

飲み口の縁に薄い曇りが戻るころ、もう一度だけ布を当てる。熱いのに、均すように。ひと息つくと、路地の音が少しだけ近くなる。どんな小さな作業が、落ち着きを作っているのだろう。